2005年12月09日

2005年11月26日 シネマキャバレー

今回のシネマキャバレーは、過去2回の俳優特集から通常ブログラムに戻っての上映会でした。早いもので、インディーズ作品を見始めてからもう1年。その間、2回の欠席がありましたが、シネマキャバレーで上映された数々の作品が、インディーズ映画を見る上での一つの基準になった事は否定しがたい事実です。
 11月のシネマキャバレー、今月もワクワクする作品が目白押しでした。観客は約20名。もう少し観客動員が欲しい感じがしますが、それなりに楽しい上映会でした。
 ただ、作品上映直後に行われる監督挨拶が一組しかなかった事、これはあちこちの上映会で忙しいのでしょうが、上映作品のこれからの興行、宣伝を考えると残念な事です。自主映画の作家の方々は、作品を作るまでが大変なのでしょうが、本当は、観客に見てもらう事がもっと大変な事のように思います。
 はっきりと言っておきましょう。シネマキャバレーのような作り手のアウェーな上映会に力を入れない限り、せっかくの作品の広がりはありません。各映画祭などの評価は結局その場限りの物です。シネマキャバレーのようなベーシックな観客層に作品をアピールせずに、映画祭の評価を得たとしても結局はその後、忘れ去られる事になってしまいます。
 インディーズの映画作家は、シネマキャバレーの様な上映会をもっと理解すると共に、バックアップして欲しいと思います。

本日の上映作品
● 吉川信幸監督 「Hello Horizon」
ある種、定番といっても良いロードムービー。この手の映画は景色で決まると言ってしまうと、それでオワリになってしまいますが、オーソドックスで丁寧に撮られているのは評価できます。
 ただ、物語もオーソドックスなので、途中で結末が解ってしまいます。それは、現時点では、案外仕方のない事なのかも知れませんが、ワンシーンで良いから、ドキッとさせるシーンが欲しかった。ここまでオーソドックスにまとめた手腕は評価出来ますが、この程度の物語で45分は長すぎるのではないでしょうか。
 オーソドックス。それ以上でも、それ以下でもない作品でした。
● 前田達哉監督 「棗 ―NATSUME―」
この作品もどちらかと言えば映像派の作品ですが、「Hello Horizon」とは正反対にPOPな映像の洪水でした。それはそれで、悪くはないのですが、今ひとつ言いたいことが良く解りませんでした。映像で押し切るのには、これもまた、この手の作品としてはオーソドックスな映像であり、映像的にも観客を納得させるだけのパワーが不足しているように思います。
 結局、物語で押すにしても、映像で押すにしても技術的には勿論のこと、もう少し何が言いたいのかを熟考した方が言いのではないでしょうか?。見える物を見えるように撮るのは当然の事であり、見えない物を見えるように撮って見せるのが映画作りの面白さではないでしょうか(漠然としていて申し訳ありません。ヒントとして、鈴木清順監督のツィゴイネルワイゼンを見て下さい)。それは映画鑑賞の一つの醍醐味でもあると思います。
● 安部佳子監督 「おしまいのほうほう」
この作品は3年程前の作品のようです。今回が2度目の上映ということで、そういう意味ではこの作品を見る事が出来たのは、一つの幸運、シネマキャバレーの功績といっても過言ではないと思います。
 シネマドッグの作品は、新作「どめくら」「ピーナッツ」にしても言える事ですが、もっとたくさんの人に見て欲しいと思います。その辺は、作り手と観客の違いなのかもしれませんが、もう少し頻繁に上映するべきです。勿論、上映にかかる労力は大変な事だと思いますが、しかし、上映を重ねる事によって、インディーズ映画を見る観客は確実に増えると思います。それは、シネマドックに限らず、インディーズという映画のフィールドをおし広げる事になると思います。おそらく、それは今年25周年を迎えたインデイーズ映画のベテラン制作グループとしての使命ではないでしょうか。
 作品としては、本作品もシネマドックの特徴である脚本の良さが光りました。出演者や撮影スタッフの皆さんは3年前の作品という事もあって、決して上手いとは言えませんが、皆さん、シナリオをちゃんと理解していて、それなりにしっかりとした作品になっています。適材適所、当て振りという訳ではないと思いますが、それが、単なる技術ではなく出演者の皆さんの必死の演技として伝わってくるのがこの作品の良い所です。ある面ではインディーズ映画製作のお手本といっても良い作品でした。(担当:13号倉庫)
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2005年12月01日

2005年11月19日 シネマドック25周年記念上映会

高橋亨監督+吉本昌弘脚本という夢の組み合わせが実現した今回の上映会。それは一つの試みとしても、2005年のインディーズ映画にとっても、これからの映画界においても、将来を占う大きな事件でもありました。
 観客動員から見てもこの上映会が成功しなければ、インディーズ映画、そして商業映画の将来に暗雲が漂うような状況での上映会。この上映会が失敗したならば、映画は単なる金儲けの道具か、独りよがりのアート作品ばかりになってしまう所でした。
 結論から言うと、この上映会は大成功。収容人員500名余りの「なかのゼロ小ホール」にほぼ9割の観客動員。こんなにお客が入った劇場で映画を見ることは久しぶりの事でした。勿論、1回だけの上映という事もあるのですが、観客の雰囲気が、「よーし、これから映画見るゾ」という熱気がビシビシと伝わってきて、それはまるで黄金時代の熱気溢れる劇場が帰ってきたような雰囲気でした。
 25周年を迎えたシネマドックの皆さんの熱意、それを見続けてきた古くからのシネマドックファン。そして、同時代を併走した制作集団の方々、更に、若い映画作家、観客のみなさん。恐らく夢のような一夜だったに違いありません。
 40分前後の2本立て。それはプログラム・ピクチャーの新しい展開でもあり、新しい上映システムへの挑戦でもあるかのようでした。勿論、作品の出来が良いというのが大前提ですが、25周年を迎えたシネマドックはそのハードルを難なくクリアしたように思います。何かが少しずつ変化する予感。単なる作品論だけでなく、作る方も見る方も、何らかの期待を抱かせるような上映会だったと思います。

今回の上映作品
● 高橋 亨監督 「どめくら」(2005)
高橋監督と脚本家のシネマドック吉本昌弘さんのドッキング。これは今年最大の事件でもありました。高橋監督は、インディーズ映画ではクオリティの高い娯楽作品を作る事の出来る貴重な監督の一人。しかし、勢い余ってギャグがマニアックな方向に突き抜けてしまう傾向が多々ありました。それは高橋監督の良い面でも欠点でもあると思うのですが、今回はそれが良い方に出たように思います。それはシナリオの良さが第一に挙げられますが、主役の高橋健一さんを始めとする出演者の方々の熱演による賜物だったように思います。監督のパワーだけではなく、役者さんの個性+シナリオ+演出のパワーバランスがこの作品の最大の見所でした。
 今回の作品は、公開当日まで編集していたという事で、前半は多少、雑な繋ぎの箇所も見受けられましたが、再映の時までには完璧な形になっている事でしょう。
 この作品で高橋監督が、女優・星野佳世さんの新しい魅力を引き出したのも大きいと思います。これで、星野佳世さん主演のしっとりとした本格的な女性映画という新しい可能性も広がったように思います。

● 吉本昌弘監督 「ピーナッツ」
正直言って、こちらはあまり期待していなかったのですが、「どめくら」以上の傑作でした。シネマドックの作品は、とにかくシナリオがしっかりしているので、ある程度安心して見ていられるのですが、この作品は、「どめくら」の併映作品と言うことで、案外リラックスして撮られた作品ではないかと思います。画面を見ていると、吉本監督をはじめ役者さんやスタッフが映画作りを楽しんでいる様子がビンビン伝わってくるような作品でした。
 このような作品では、俳優さんの好感度が重要な決め手になるのかもしれません。「どめくら」から一転してサングラスをはずし、別人のような高橋健一さん、ストーカー・ドック岩瀬厚一郎さんの怪演、それに二人の女優さん(富澤友加里 、吉崎仁美)のハツラツとした演技も忘れてはいけません。
 吉本シナリオも、案外アッサリしているのですが、導入部の多少強引な展開からラストへの繋がりは、思わず拍手をしたくなるほどの見事さでした。演出も「PINKY」の時の重さは感じられず、役者の良い面を自然に引き出したような肩の力を抜いた演出は、この作品の良さを一層引き出しているかのように思います。(担当:13号倉庫)
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2005年11月25日

2005年11月18日 徳永富彦監督 「Audio」

上映時間117分。全編退屈な映画だった。この映画の正しい鑑賞方法は、欧米の映画ファンのように、途中で席を立つべきだったのかも知れない。勿論、気に入ったのなら熱狂的に支持をすれば良い。
 それが出来ずに最後までスクリーンを見つめたのは、徳永監督の力量である。盗聴という題材、ドキュメンタリータッチの丁寧な映像、しっかりした演出も悪くはない。しかし、その中からは監督が何を言いたいのかが今ひとつ見えて来なかった。それが監督自身のオリジナリティなのかどうかは、この1本だけでは解らないが、徳永監督独特の作風でもあるように思えるのだ。
 この映画の舞台は90年代である。90年代と言えばバブル崩壊の影響をベースとして、不確定、不確実な要素が蔓延、跋扈した時代のように思う。いや、それよりも、雑多な価値観が百花繚乱のように乱れ飛び、収集が着かなくなったというか、何でもアリの状態になってしまった10年なのかも知れない。
 90年代の総括には、もう少し時間がかかるようにも思うのだが、自分なりに、90年代のキーワードを考えてみると、ザ・ローリング・ストーンズの初来日、エヴァンゲリオン放映、そしてパソコンの3つが挙げられる。
 ストーンズ待望の初来日。しかし、それは音楽ビジネスに保護されたブランドステージだった。当たり前の事なのかも知れないが、ストーンズは昔のストーンズに非ず。その形骸化がとても哀ないステージだった。
 エヴァンゲリオン。これは思想心情のデジタル化というべきか。ある面、感情までもデジタル=コピー化しようという試みだったのかも知れない。当然の事ではあるが、その中からは新しい物は一つもでて来なかったという事でボクは失敗作だと思う。しかし、デジタル=コピー化という強引な手法と、その影響力においては、正に90年代的だったのかもしれない。
 そして、パソコンの普及である。この不思議なハコに何もかもぶち込めば、あらあら不思議、ガラガラポンのリミックス。そこから何が出てくるのか、出てこないのか。しかし、そのお楽しみは、次の10年に委ねられたように思う。90年代のパソコンは単なる箱であった。
 勿論、この3つのキーワードには何一つ新しい物はないし、新しい発見もなかった。しかし、このゴチャマゼ状況を起点としての創作活動から新しいオリジナルが登場する可能性を否定は出来なかった。果たして、それが徳永監督の考えている90年代=「Audio」だったのかどうかは解らないが、少なくても、「Audio」はボクには、90年代を表面的になぞっている(コピー)だけの作品に見えた。それは正に徳永監督自身がそれらの90年代の影響をかなり深く受けているのではないかと思うからである。そこではもう、人間の心の葛藤すら単なる情報でしかない。形骸化、デジタルコピー、リミックス。90年代の縮図というには、あまりにも90年代的な不確定、不確実な要素が雑多に蔓延、跋扈している作品であった。
 恐らく90年代の総括にはもう少し時間がかかるだろう。徳永監督、「Audio」の評価もまた、それなりの時間が解決してくれるはずである。席を立つのはそれからでも遅くない。
 会場は、なかのZEROホール。観客は約40名でした。(担当:犬 大太)
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2005年10月03日

2005年9月24日 シネマキャバレー

今月のシネマキャバレーは、3周年突入特別企画第1弾ということで、インディーズ映画で活躍している俳優、村田啓治さんの特集でした。村田さんといえば、シネマキャバレーのスタッフでもあり、いつもスカム2000のカウンターの奥で一見目立たないのだけど、妙な存在感を発揮している不思議な俳優さんです。この、妙な存在感は結構魅力的なようにも思いますが、インディーズ系の監督さん達も目を付けているようで出演作もかなりの本数のようです。しかし、村田さんの不思議な存在感を上手く引き出した作品は残念ながら今回の上映作品の中にはありませんでした。ある面では、それ故に村田啓治は凄いとも言えるわけで、益々その不思議さに拍車がかかったようにも思います。一体、この不思議な存在感は何なのでしょう?。ミステリアスで、デンジャラス。「こっち、来いよ!」と言われても困るけど、これからも120%期待の俳優さんです。
 本日の観客は約20名。スカム2000は完全に村田啓治一色に染まりました。

本日の上映作品
● 水戸ひねき監督 「恋は致命傷」(2002)
 コメデイのお約束(3回ルール)を知っているのか、いないのか。結局、安易な繰り返しの連続で、パワー、構成力共に乏しい凡作になってしまいました。ルール無視をするのなら、少なくともラストだけはもう少し何とかしなくてはお話になりません。結局面白かったのは、村田啓治が高校生役で登場する最初のみ。次からはパターンが解っているだけに、この程度のコントでは苦しい。そこがコメディの難しい所なのです。
● 山岡大祐監督 「男はみんな利用しろ」(2003)
 山岡大祐監督、女心を描く。という所なのでしょうが、あまりにもパターン化していないだろうか?。解りやすいのは良いのだけど、あまりにも表面的で、掘り下げ方が足りないように思います。トレンディ・ドラマではないのだからもう少し、女心の訳の解らない部分に挑戦しても良かったのではないでしょうか。ある意味、山内洋子監督の対局にある作品だけに、もう少し頑張って欲しかったようにも思いました。
● 高橋 亨監督 「恐怖奇形人形」(2003)
 これは、ラストを除いて市川崑監督「犬神家の一族」の完全パロディといっても良いでしょう。高橋監督の重厚な演出が冴えれば冴える程、パロディとしては成功するという、他ではちょっと味わえない傑作でした。役者がちゃんと演技しているのが印象的でした。逆に言えば、ちゃんと演出が出来ているという事です。恐らく、これは高橋組のスタッフワークの勝利でもあるのではないでしょうか。いつも気になっているヲタク的要素もラストにまとめて大爆発するという構成は、謎解き映画ならではの構成でしょうが、今回は大成功。ある意味、二本立ての面白さでした。必見!。
● 樋永真一郎監督 「MERRY SHOW」(2004)
 映画作りの話を映画にするというのは、監督やスタッフにとって身近な事なのでしょうが、果たして、それが観客に伝わるかどうかは、作品に取り組む監督、スタッフのセンスの問題なのでしょうか?。気持は良く解るのですが、乗り切れませんでした。テーマも演出も、もう一つシャープさが欠けていたように思います。特にオーディションのシーンは冗長だったように思います。
● 湊田眞弘監督 「鈴木マン 第一話、第2話」(2005)
 先日舞台を見せていただいた(劇団ジアザーサイド「NHK」2005.5.15昼 参照)、劇団ジアザーサイドの作品。舞台役者が中心という事で、映画というよりも、演劇的要素が大きい作品でした。実際の所、この手のギャグは90年代小劇場的というか、映像としては、ちょっと古さを感じてしまいます。とりあえず初作品という事で、こんな物かも知れませんが、徳元さん、徳富さんという素晴らしい役者さんがいるので、ちょっと勿体ない感じもしました。
● 上嶋光弥監督 「無理をしないで(鉄道物語より)」(2003)
 今回の上映作品中、唯一オーソドックスな村田啓治が見られる作品です。上嶋監督が真正面からドラマを構築している姿勢が小気味良く、特に、ロケハン等のスタッフによる映像以前の見えない努力が充分活かされているのが画面からしっかりと伝わってきます。オーソドックスな演出手法が、さりげない話に深みを持たせていて、好感が持てました。他の作品も機会があれば是非見てみたいと思いました。
● 堀井 彩監督 「浅草チェリーボーイズ」(2004)
 この作品は再見(2005.1.7 堀井彩監督 新作三本立 参照)になるのですが、印象は前回と変わりありませんでした。多分、監督としては、一番不得手なジャンルに挑戦した作品だったのではないかと思います。村田啓治的には、今回の上映作品中、一番目立たない作品のように思いました。

 結局、今回の上映作品では、俳優、村田啓治の核心には届かなかったというか、殆どの監督が村田啓治のキャラクターを捉えきっていないように思います。ある面、村田啓治がその中を自由に泳ぎまくったというか、逆に更なる不思議感覚を増殖させたような上映会でした。その点では、村田啓治のキャラクターが全面的に大爆発している、鶴岡みゆき監督「ビジターズ」第4部を上映しなかったのは正解だったのかもしれません。
 とにもかくにも、今回のシネマキャバレーは今までにない不思議な上映会でした。村田ワールド、更なる新展開に期待大の予感です。(担当:13号倉庫)
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2005年10月01日

2005年9月23日 第7回えーぞーふぁんたじあ(第1部)

自主映画界のプリンス、鶴岡幸治監督率いるCUT主催の上映会「えーぞーふぁんたじあ」。この催しは、毎回旬な話題作をセレクトしていて見逃せない上映会の一つである。今回のラインアップも強力な作品が出揃っていたのだが、いかんせん、入れ替え制のため、1プログラム自体は極平凡な番組編成になってしまった事が惜しまれる。もっとも、今回のテーマである「メジャーへの挑戦状」という意味ではこのプログラムでどれだけ観客を集められるのかというのも重要なテーマであろう。しかし、今のメジャーに果たして挑戦するだけの価値があるのかどうかはかなり疑問である。その点ははっきり断言しても良いだろう。今のメジャーには何もない。多分、この先10年は強引に作られた話題作は出てきても、メジャーから新しい才能は出てこないだろう。勿論、メジャーシステムの良い点は取り入れる必要はある。しかし、それが何故良いシステムなのかを充分吟味した上で取り入れなければ、恐らく失敗するだろう。むしろ、CUTの良さを充分盛り込んだ、CUT独自の「えーぞーふぁんたじあ」こそが、メジャーを凌駕するのである。鶴岡氏始めCUTのスタッフは解っているだろうが、その辺のネタは充分揃っているはずだ。

第1部の上映作品
● 森川陽一郎監督 「福井青春物語」(2005)
 福井県在住、出身者による福井県の映画とでもいうのだろうか。全編福井弁、標準語字幕スーパー入りの作品だ。その点では森川監督の意図は正しいと思う。しかし、この作品が福井県を正しく紹介していたかというと、どちらかというとそうではない。それは恐らく監督自身の問題であると思うのだが、多分、中央に対する意識が過剰なのだろう。例えばこういう事が言えるかもしれない。面白い、詰まらないは別にしても、この映画に何かがあるのなら、字幕など無くてもそれなりに観客は感じとるのではないだろうか。それは、音楽の面でも言える。何故、歌詞は標準語なのだろう。せっかくのアイディアなのだから、徹底的に徹底するべきではないのか?。肝心の物語も、映画青年の話としては理解出来るのだが、福井でなければならない程のストーリーでも無い。
 それでもこの作品を見る事が出来るのは、森川監督独特のリズムがあるからだ。パターン的には鶴岡監督との類似点も見られるが、根本的に違うのは、鶴岡監督はテクノ系だが、森川監督はソウル系という所だろうか。この差は意外と大きく、デジタルとアナログほどの違いがある。その点では森川監督のこのセンスは結構楽しみな部分でもある。出来れば他の森川作品も機会があれば見てみたいと思う。
 同時上映のメイキングは、森川監督と主演の津田寛司にスポットを当てたドキュメンタリー作品。面白さから言えば、本編よりもこちらの方が断然面白かった。中央で活躍している俳優の思い、地方で活躍している映像作家のバイタリティが余す所なく出ている20分だ。実はこのメイキングのテーマが、本編のテーマを良くも悪くもしている所がスリリングな見所だった。津田寛司、もう純粋な福井県人とは言えまい。森川監督、まだ、福井県に骨を埋める覚悟はない。福井うんぬんとは関係ナシに二人の状況があからさまに出ている良いドキュメンタリーだった。
● 鶴岡みゆき監督 「FB2nd BLACK CAT the Eccentric」
 この作品は、もう何回も見ているので作品評はそちらで確認して欲い。しかし、今回の上映は、「福井青春物語」の津田寛司と、この作品の宮川ひろみという、ある意味俳優バトルという方向では興味深いラインアップだった。どちらがどうだったのかということは、ここでは言わないが、「FB2nd〜」をこれだけ何回見ても飽きない要因の一つは、やはり主演の宮川ひろみである事は間違いない。この所、宮川ひろみの旧作を何本か見る機会があった。それらの作品の中でも宮川ひろみは、存在感を見せていたが、「FB2nd〜」の凄い所は、それらとは全く別な彼女のコメディチックな魅力を引き出した事だ。彼女のそのセンスは、案外はまり役のようにも思えるが、どうだろう。しかし、この路線での作品はその後見られないのが残念だ。宮川ひろみ、今が旬。彼女の新作が待たれる所だ。

 「えーぞーふぁんたじあ」第1部。観客動員は約40名。祭日の午後としては、まあまあの入りだった。ちなみに第2部は、宮本高志監督「FUTURE BLUE」、松田彰監督「お散歩」。第3部、石出裕輔監督「ユウナのちいさなおべんとう」、鶴岡みゆき監督「VISITORS」。総合司会、しーとん。(担当:犬 大太)
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2005年09月07日

2005年8月27日 シネマキャバレー 

8月のシネマキャバレーは納涼ホラー大会。先月は地震というアクシデントのため、観客も少なかったのですが、今月は約40名の観客動員。作品もバラエティに富み、充実の盛り上がりとなりました。司会のトック嬢、受付のちかりん嬢の浴衣姿も、真夏の上映会に一時の涼風となっていたように思います。トック嬢の司会は今回も大爆発。これはもう、シネマキャバレー名物といっても過言ではないでしょう。

今回の上映作品
● 西田啓太監督 「ママゲリア」
 ゾンビ物という事で、「ああ、またか……」という感じがしないでもないのだけど、10分という時間の中で、しっかりとまとめ上げているのは見事でした。この作品では、パロディとしての発想のねじ曲がり方に監督独特の味着けが感じられました。ある種のパワー。それが観客に向かっているのが嬉しい。出演者は殆ど、素人さんという事らしいのですが、そのなりきり演技は見事でした。ママも先生も、本当はゾンビなのかもしれませんよ(マジ)。ひょっとすると、監督は、人間の奥の奥に潜む、魑魅魍魎的な部分を、ユーモラスにちょっだけ階間見せてくれたのかも知れません。夜中の学校のうすら寒いシーンはそれだけでも見事でした。
● 高橋 亨監督 「妖艶 軽井沢婦人」
 高橋監督の作品は、やはり面白い。今回の作品も、ピンク映画としても充分通用するテイストでした。しかし、またも出てくるヲタクギャグ。それが無かったら、高橋監督作品では無くなるのかもしれませんが、そのヲタク的感覚を払拭出来れば、もっとスケールの大きな作品になると思うのですが、どうでしょう。もっとも、これは監督の資質などを考えるとかなり難しいと思われます。勿論、商業映画ではその辺は完全に削除(ギャクも一般作品ではもっと洗練されているし、規制も多い)されるでしょうから、問題は無いと思いますが、インディーズ作家としての高橋監督を考えると、これは、もう淀長さんではないですが、一流の作品を見て、もっとギャグのセンスを磨いて欲しいと思います。勿論ヲタク的な物にも一流の作品がないとは言えませんが、例えば、作品中の謎解きシーンは、「明智小五郎」でも良いのですが、そこまで行き着く為には、当然「多羅尾伴内」があり、更には「ジキル&ハイド」まで思いを馳せなければ軽い物になってしまう(結局、あの流れでは明智小五郎では無いという事)という事です。ヲタク的なものではなく、高橋監督の高橋監督らしい作品、それを今、真剣に見たいと思っています。と言うわけで、ヲタク趣味の話は、一応今回で最後にする予定です。
● 山岸信行監督 「VOODOO BLOOD 第1部 闇から響く声」 
 実はこの作品は山岸監督を知るきっかけになった作品で、1年ほど前にビデオを見せていただきました。その時の印象としては、実にオーソドックスな演出をする監督のように思いましたが、この1年、インディーズ作品を見てきて思うのは、山岸監督のようにオーソドックスに作品を作れる監督は意外と少なかったという事です。勿論、インディーズを含めて、映画はなんでもありなのですが、やはりオーソドックスな作品は、それなりに見応えがあると思います。しかし、凡庸になりやすいので、創る方とすると、かなりのパワーと制作体勢が必要になってくるのではないでしょうか。今回の作品は、往年の新東宝怪談映画を彷彿させる作品になっています。新東宝怪談映画といっても今や知る人ぞ知ると言ったところでしょうが、功罪取り混ぜて、邦画怪談映画の基本といっても過言では無いでしょう。それはとても愛くるしい娯楽映画でもあるわけですが、山岸監督のこの作品も、同様な愛くるしさがあると思います。面白い、詰まらないは人それぞれだとは思いますが、最後までしっかりと見ることのできる作品の一つでした。
● 井上たかし監督 「LIVE SHOW」
 今回の上映は再編集バージョンという事で、約2分程短縮されていたようです。再見の印象は、初回上映時とほとんど同じでしたが、やはり今回もこの作品の脚本の良さが目に付きました。作品としても演出のトーンがある程度統一されているので、この作品はこれで良いのではないかと思います。もっとも、あと数カ所は切ろうと思えば切れるシーンはあるのですが、全体のバランスを考えるとどうでしょうか?。今年見た作品の中では印象に残る1本です。しかし、上映の機会が少ないのが残念です。その辺はもう少し、なんとかならないものでしょうか?。(担当:13号倉庫)
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2005年08月30日

2005年8月21日 imim.fest.2005 vol.3

正式名称は、第3回市川メディアパーク・インディーズ・ムービー・フェスティバル2005(imim.fest.2005 voi.3)。少しだけ早起きして千葉県市川市まで足を伸ばしました。市川に行くのはおよそ30年振りです。日曜日の午後、観客は約40名。入場無料の上映会。会場の規模からすると、観客動員は微妙な数字のようにも思われますが、作品のセレクト、主催者側の熱意などはここ数ヶ月の上映会でも特上の上映会だったように思います。例えば、映画を見せよう、見てもらおうという姿勢、それは基本的な事だと思うのですが、ここ数ヶ月間に乱入した上映会は身内、仲間意識が強すぎて、排他的とまでは言いませんが、幅広い観客に見せようという熱意が感じられない雰囲気の上映会が多かったように思います。勿論、制作から上映会まで、それは相当な労力がかかる事は解ります。しかし、最終地点は一体何処なのかという事はもう少し考えられても良いようにも思えます。その意味では、今回の上映会に対する主催者側の熱意には、敬意を表したいと思います。いろいろと大変だとは思いますが、「継続は力なり」。是非、次回も頑張って下さい。

今回の上映作品
●古川達郎監督 「天使の羽根 僕の勇気」
 「ユーカリSTORY」の古川監督、渾身のファンタジー作品。この作品は現在、ネット公開中なのですが、自分のPCではスムーズに見ることが出来ないので、今回、ようやくスクリーンで見る事ができました。以前、話題になったオムニバス「天使の羽根シリーズ」の中の1本。冒頭のCGアニメーションはこのシリーズを統轄するイメージなのでしょうが、CG嫌いの自分としては、もう一つ乗り切れませんでした。しかし、実写本編に入ってからは、正に古川監督の独壇場で、特に病院内での子役のシーンが素晴らしい。このシーンがしっかりしているからこそ、恐らくあり得ないであろう、切なく悲しい未来のウェディングドレスのシーンが、光り輝いているように思います(大人の役者の演技は、意外と凡庸でした)。今回の上映会のオープニングを飾る作品に、この心温まる作品を持ってきた主催者側のセレクトは、なかなか見事な選択だっだと思います。
●立花修一/梯謙一郎監督 「夏の終わり」
 果たして、夏の終わりの寂しさが出ていたかどうかは、はなはだ疑問ですが、奥多摩の自然はとても綺麗でした。しかし、その自然に役者さんがどう絡んで行くのかは、あまり考えていなかったのではないかと思います。たかが5分のイメージ映像とはいえ、むしろ、それだからこそ、役者さんの魅力をもっと引き出すべきだったのではないでしょうか。
●野村忠弘監督 「A B & C」
 12分のショートムービーとしてはアイディアが秀逸だったと思います。その辺は監督のセンスの問題だと思いますが、充分納得のいく作品でした。欲を言えば、演出面で役者の演技がチョット軽い感じがしました。もう一押し!。
●後藤篤史監督 「ESCAPE-2 裏切り」
 全編、ほぼ銃撃戦というような印象が強い作品です。しかし、銃撃戦のカッコ良さがスクリーンいっぱいに広がっている割には、いつか、どこかで見たようなシーンの連続のような感じがしました。確かに、習作としては、技術的にもかなり高度な映像だと思いますが、オリジナリティの欠如は、独立した作品としては致命的でした。監督のやりたかった事は充分理解しますが、それはあくまでも手法であって、1本の映画作品としては何がやりたかったのか?。技術はあると思うので、次回はちゃんとしたアクション映画をみせて欲しいと思いました。
●車田勝久監督 「デスバトル」
 作品としては、よくここまでまとめたという感じがします。舞台挨拶での監督のお話をお聞きして、正直な所、作品よりも制作過程のほうが面白かったという、笑うに笑えない作品でした。しかし、それを含めると、この作品には自主制作、インディーズ映画の面白さが全て詰まっているような作品のように思います。その辺が実はインディーズ映画制作の魅力の一つなのかもしれません。次回は是非、そのようなことがないように、スムーズな進行をして下さい。
●立花修一監督 「誘うっP−」
 開巻当初は、キートンの「セブン・チャンス」を思わせる面白さでした。そこからどのような展開になるのかと興味津々でしたが、180度展開して、純愛ドラマへ。その展開もある事はあると思いますが、密度が濃くなる分、ギャグの繊細さも問われる訳で、残念ながら、その辺は大味になってしまったように思います。ストーリーの流れとしては、大きい所から一つの対象へと絞り込んで行くという、結構むずかしいパターンだったと思うのですが、その割には、充分健闘した作品だったように思います。純愛ドラマ部分での決定的なギャクが欲しかった!。
●野村忠弘監督 「CHANGE」
 野村監督のアイディアは、この作品でも秀逸です。更に、この作品は3人のキャラクター分けがきっちりとしているので、とても解りやすく、魅力ある作品になっていました。特に後半のリズム感溢れる展開は、安心して楽しめるので、面白さも倍増。3人の女優さんのひたむきな演技もとても新鮮でした。今回が一般向け初公開という事でしたが、こういう作品はもっともっと上映機会が増えて欲しいものです。
●伊東雅弘監督 「俺たち刑事き族ー2」
 いわゆるバカ映画系の作品。過去数回乱入したこの手の上映会では場内大爆笑の連続で、唖然としたものですが、ここ、グリーンスタジオの観客は、どちらかというと冷静にご覧になっていたようです。このジャンルの作品については、まだまだ解らないことが多いのですが、恐らく、観客(身内、グルーピーを含まず)に見せるという意識が、果たして制作者側にあるのかどうか?。その辺りの見極めをどうするかによって作品の評価も変わってくると思います。勿論、スクリーンに写っている限り、これも立派な映像であり、作品だと思いたいものです。
●野村忠弘監督 「きんぴら」
 上映会のトリを取るのは、本日3本目の野村監督の中編。野村監督のプロフィールは解りませんが、それなりのポジションについている監督なのかも知れません。この作品も、つげ義春の「ねじ式」を思わせるファンタジー・トーンのストーリー、ロケハンの結晶とでもいうような、ノスタルジックな風景の中に役者の演技が自然に溶け込んでいるような演出、映像は見応え充分でした。しかし、欲を言うと、それなりにこじんまりとまとまってしまっている感じがします。その意味では、作品としてのパワー(*)がもう少し欲しかったように思います。

*作品のパワー 言い換えれば、作品の魅力。作品のセールスポイントと言っても良いかも知れない。観客的な部分では、見る前の期待感、上映中のワクワク感など。

この他、古川達郎監督 「天使の羽根 震災のメリークリスマス」、下倉 功監督 「シルク」(一般公開用)の予告編、「映像文化センターCM」が上映されました。予告編、2本に関しては、訴求力充分でしたが、いかんせん、本編は未完成、公開未定と言うことで、幻の作品にならない事を祈っています。
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2005年08月13日

2005年8月7日 融解座

8月最初の上映会は、初乱入の融解座です。融解座の上映会は、毎月第1日曜日に江古田のCafe FLYING TEAPOTで行われているようです。当日は午後5時スタートという事でしたが、上映開始が約15分程遅れました。別に地震や機材のトラブルがあった訳ではなさそうでしたが、これが主催者側の言う、まったりとした上映という事なのでしょうか?。この日の観客は約25名。ほとんどが関係者、というか、内輪の上映会だったようです。今回の上映会は、そのような感じでしたので、司会進行もかなりアバウトな部分が目立ったのですが、身内、関係者限定の上映会ではないのでしょうから、「まったり」と「いい加減」との違いを、主催者は、ちょっぴり考えた方が良いのではないかと思いました。

今回の上映作品
●泉 常夫監督「バカブロッサム! 馬鹿風呂 第3篇(最終回)」
 シリーズ物の完結篇らしい。冒頭に1、2部のダイジェストがあったのは良心的なのかも知れないが、それがあっても内容は殆ど解らなかった。やはり、1、2部を見なければキチンとした評価は出来ないと思う。果たして、1、2部は何処で見る事ができるのだろうか?。
●西條雅俊監督「98%ホリディ」 (2002)
 これは、青春の1ページなのか、2ページなのか、3ページなのか。バイクの故障によって都合良く起こった、ありそうでなさそうな話という所なのだが。バイクの故障に拘るリアリテイは全く無いにも関わらず、ここに拘らなければ物語が成立しないという所が致命傷的な欠点のように思う。恐らく、バイクの故障に拘るあまり、主人公の青年の生き様等、映像にならない部分での構築が、かなりお粗末だったのではないだろうか。監督、もしくは脚本家が面白いと思ったアイディアををただ、動く映像にしただけの作品だった。
●根路銘 瞬監督「洗い場」
 厨房、洗い場、トイレなどで事件が起こりそうな期待を持たせる演出はなかなか見応えがあるし、事件が起きてからの緊迫感の盛り上げ方もなかなか上手いと思う。そして、犯人が解ってからの展開もなかなか面白い。しかし、あのラストはちょっと突飛だったのではないだろうか。勿論、あのような終わり方はあると思う。その為には観客の大部分を納得させるだけの何かが必要になると思うのだが、どうだろうか?。約10分という長さに問題があるのかも知れないが、ちょっと勿体ない1本だった。
●てきとうフィルム「近未来ATM」「愛の玄関先」
 恐らく、ショ−ト・コメデイの習作なのであろう。そういう意味では、2作品とも悪くない。オーソドックスな作りには好感を持った。もっとも、本編となると、この設定は使い古されていると思うので、この作品の数倍のひねりや、アイディアが必要だと思う。
●ウズマキマキオ監督「快速パトレイバー」
 このような作品は面白い、詰まらないがはっきりと分かれる作品ではないだろうか。この作品に関しては勿論、詰まらなかった。それは、この作品に関する監督の思いこみがもう一つ淡泊だったように思えるからだ。こういう作品の場合は、主人公のキャラクターが特出しているか、監督の演出(この作品の場合主人公の発するセリフの切れ味)がぶっ飛んでいるか、最低どちらか一つは必要なように思えるのだが、残念ながら、両方とも、中途半端に終わっている。実は、この辺はかなり難しい所だとは思うのだが、監督の発想が面白かっただけに、残念だった。
●ウズマキマキオ作成「誘拐映画社問題集 国語 僕らの桃太郎」
 数分ほどの短編作品。CG?、アニメーション?。それなりに絵は動いていたように思う。
●駕籠真太郎監督「駅前切断」
 今回の上映作品の中では不思議な面白さを持った作品だった。単純で一般にも充分解りやすいブラックユーモア作品。これで、ラストの落ちがあれば傑作になっていたのではないかと思うが、ラストは、あっさりと終わっている。勿論、この終わり方も悪くはない。むしろ、ちょっと不思議な余韻を残すには、この終わり方が、正解のようにも思える。短編ならではの許容範囲を充分に計算した終わり方かも知れない。ひょっとするとこの終わり方に関しては、監督は確信犯なのかもかも知れないと思った。
●駕籠真太郎監督「駅前花嫁」
 基本的には「駅前切断」と同じような設定なのだが、こちらの方が少しだけファンタジー色が濃い。しかし、20分を越える上映時間のためか、テンポはかなり間延びしているように思う。また、それと連動して、1シーン、1シーンのアラがやたら目立つ。更に、決めのショットと運びのショットのバランスの悪さが、作品の面白さに微妙に影響を与えてしまったように思う。この作品も上映時間10分程の短編にして、テンポアップを試みた方が良かったのかも知れない。(担当:犬 大太)
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2005年07月27日

2005年7月23日 シネマキャバレー

今回のシネマキャバレーは金杉監督の「悶絶!ハートブレイク新宿」と、インディーズ映画界のプリンス、鶴岡監督の「TRAR OF THE DORAGON」の2本立というプログラムです。これは、かなり渋いプログラムのように思いますが、その分、観客動員に関してはかなりの不安がありました。それに輪をかけたかのような午後の地震。その影響は思いの外大きくて、長時間にわたって電車が動かず、結局、シネマキャバレーのスタッフの方も上映には間に合わないという状態でした。当然観客の入りも少なく、ある意味、興行としては成り立たない上映会となってしまいました。しかし、こういうイレギュラーな上映会の時は、主催者側も、観客も、何故か、盛り上がるというのが、今までの例でも多かったように思います。そういう意味では、今回のシネマキャバレーもかなり盛り上がった上映会だったのではないでしょうか。

今回の上映は次の2本
● 鶴岡幸治監督「TEAR OF THE DRAGON」
 実は、この作品は、先日の「えーぞーふぁんたじあ」で見たばかりです。更に、その前に何回も見ているので、今更の感じもしないではありません。この作品は、デニー3部作の1本という事で、できれば3本まとめて見たほうが解りやすいと思います。単独の場合は、見る方としては、かなり頭を使う事になるのですが、鶴岡監督は更に頭を使って、作品を作っているようなので、構成的には、案外解りやすい作品になっているのではないかと思います。しかし、そんな事より、この作品は、鶴岡監督の感性と何処まで遊べるのかが、問われているような感じがするので、ひょっとすると、この作品だけを見た人の中には、全然駄目だった人もいるかも知れません。しかし、そういう人は、是非とも残り2本を見て欲しいと思います。ある意味、鶴岡監督の楽しみ方は、無限大なのです。

 上映終了後、恒例の監督挨拶の時間に、突然鶴岡監督の所信表明がありました。それは、作品を作り続ける決意表明のような物だったと思います。もちろん、一ファンとしては、鶴岡監督の作品は、この先も見続けたいと思っています。
 しかし、インディーズ映画を巡る状況は、必ずしも良いという状況ではないように思います。実際に、今年初頭、あれだけ盛り上がった飯野監督の「ガソリンゼロ」にしても、松田監督の「お散歩」にしても、その後、再映の機会は今の所ないようです。その中で、鶴岡監督だけが下北沢トリウッドで「ヴィジターズ」の4ヶ月連続上映というイヴェントを試みたのですが、興行的には惨敗という所でした。
 一体、インディーズ映画の観客はどこにいるのでしょうか?。各種上映会を見に行っても、結局はスタッフやキャストの身内ばかり。ある程度動員数は限られているのが実情です。インディーズ作品は商業作品に比べて、不完全な作品が多いというのは、確かな事かも知れません。しかし、それを補って余る程の作家のパワーがそこにはあります。百聞は一見にしかず。とりあえず、1度で良いですからインディーズ映画の魅力を、劇場で、ビデオで、DVDで味わって下さい。そこには、鶴岡監督を筆頭に面白い監督がゴロゴロいるはずです。
 と、ボクもインディーズ映画全面支持を表明しておきます。

● 金杉 剛監督「悶絶!ハートブレイク新宿」
 金杉監督の作品を見るのは、今回が初めてです。もっとも前作「ロックンロール障害者」(未見)の評判はあちこちで聞いていたので、期待は120%という所でした。実際に、今回のシネマキャバレーも、確実にこの作品がメインの扱いでした。現在のインディーズ映画界の状況としては、下北沢トリウッドを初めとして、なかなか長編作品を公開できる映画館がないという状況もあります。それは、監督の演出力不足、観客の我慢不足、興行的な問題など、原因はいろいろありますが、長編を撮っているインディーズ監督は、思いの外厳しい状況に置かれているように思います。
 その上で、今回の金杉作品なのですが、91分を撮りきったパワーには頭が下がります。しかし、面白くない!。面白くないというよりは、面白くなる要素は満開だったのに、それが最大限に活かされていない所に悔しさが残ります。やはりその辺は長編の難しさなのかも知れませんが、監督の中でどこか自主規制のような物が働いたのかも知れません。ある意味、それは出演者にも言えて、出演者のキャラクターは抜群なのに、微妙に燃焼しきれていないような感じがします。実は、この辺が、長編故のプレッシャーだったのかも知れません。その他にも、チェックを入れれば入れるほど、欠点が出てくる作品なのですが、しかし、それ以上に大きな魅力を持った、ロックンロールな作品でもありました。今回のシネマキャバレーの英断に拍手を送ると共に、金杉監督の次回作に、限りないエールを送りたいと思います。(担当:13号倉庫)
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2005年07月03日

2005年6月25日 シネマキャバレー

 6月のシネマキャバレーは、ある意味、通常興行という事で、前評判としては、飛び抜けた話題作があるわけではありません。しかし、もしかすると、とんでもない作品に出逢えるのではないかと思わせる所が、シネマキャバレーの良いところです。もっとも、今回は全6作品のうち、3作品を見ていたので、かなり、余裕を持っての上映会参加になりました。
 今回は、レギュラー司会のトックさんが近日上演される芝居のリハーサルのために欠席という事で、インディーズ界のプリプリ(プリンス&プリンセス)コンビ、CUTの鶴岡&水橋両プロデューサが司会でした。その面では、ちょっとドキドキ物でしたが、それなりに面白い展開になったように思います。
 今回の観客は、約25名。シネマキャバレーの通常興行としては、この辺がアベレージという所でしょうか。

今回の上映は次の6本
● 荒井続久監督 「マシュマロスーサイズ」
 この作品を見るのは約半年ぶりです。基本的な印象は前回とあまり変わりませんが、この作品のトーンから言えば、映像的には悪く無いかもしれません。しかし、テーマや物語の展開は、やはりもう一つでした。完成作品は最初のシナリオとは、かなり違っているという事でしたが、最初のテーマ自体が映像になるテーマだったのかどうか、その辺はもう少し考えてみる余地があったように思います。
● 鶴岡幸治監督 「BANDITS」
 この作品も何回も見ている作品です。インディーズ映画界のプリンス、鶴岡監督の「デニー」3部作の1本。デニー3部作の中では、スピーディな展開の1本です。小話を簡潔にまとめたような感じですが、それを意図も簡単にやってのける所がこの監督の小気味良い所です。約10分という上映時間を考えると、ちょっと物足りないような感じがしない事もないのですが、多分、これ以上話を膨らますとバランスが崩れるような感じもします。最近はCUTで鶴岡みゆき監督のプロデュースに専念しているようですが、そろそろ、この監督の長編新作が見たくなりました。
● 岡本泰之監督 「MOVIE PORTRAIT」
 写真写りが良いとか悪いとかは、よく聞く話です。ただ、その感覚も、撮る方と撮られる方、それに見る方では微妙に違っていると思います。作品として、そこを映像的にどう見せるかというのは、おそらく作家のセンスに関わってくる事なのでしょう。岡本監督の今回の作品は、インディーズ界の篠山紀信・・・秋山正太郎?(例えとしてはもう一つシックリしないのですが、少なくても、加納典明ではありません)的と、でもいうような美的センス抜群の作品でした。人間の魅力ある表情を、如何に面白く見せるか。短編作品であれ、長編であれ、映画にとっては結局、そこが重要な部分だと思います。映像的にもマルチ画面の良さを充分に使った展開の語り口は見事でした。約10年程前の作品という事ですが、古さを全く感じない映像です。それは、出演されている役者さんの素の魅力が大きいのですが、それをフィルムに納めた岡本監督もさすがと言うか、とにかく、輝いている作品でした。
● 朴信活監督 「Black It's The World」
 人生で一度はお世話になる葬儀業界のダークな部分を暴露している問題作!、と言いたい所ですが、もう一つインパクトが足りないように思います。多分、朴監督自身、伝えたい事は一杯あるのでしょうが、いかんせん、語り口が舌っ足らずだったような感じがします。葬儀場のリアル感あふれる映像に比べて、ドラマ部分のある種の薄っぺらさが決定的な致命傷でした。結局、ドキュメンタりーとドラマ部分の映像のギャップが大きすぎるのが原因なのですが、それは、おそらく、これから何作も作品を作っていくうちに、解消して行く事なのだろうと思います。ある種、独特のパワーを持った作品なので、ちょっと残念でした。
● 亀島 誠監督 「渚のドラゴン」
 インディーズ映画の中では、ブルース・リーに発想を得た作品というのは、かなり多いように思います。やはり、制作側としてはそれなりに魅力を感じているのでしょうが、残念ながら面白かったと思う作品はほとんどありません。実はこの作品もブルース・リー物のアクション・コメデイなのですが、基本的なギャグセンスがかなり弱かったように思います。その辺は、ミッキーマウスやウッド・ペッカー、トム&ジェリーなど、教科書的なアニメがたくさんあるのですが、果たして監督はご覧になっているのでしょうか?。この作品、おバカ映画のジャンルに入る程、ひどい作品ではないのですが、コメディ作品を作るのならば、もう少し、勉強した方が良いのではないかと思いました。
● 山岸信行監督 「東京冬物語」
 今回のシネマキャバレーのトリは山岸監督の「東京冬物語」でした。この作品もすでに見ていて、印象は前回と変わらないのですが、今回はチョットだけ、PC処理のフィルムキズがあざとく感じました。山岸監督の遊び心は充分解るのですが、作品の雰囲気からしても必要性はあまり感じません。この監督の作品は、安心して見ていられるのですが、決定力がもう一つ足りないように思います。しかし、そこがこの監督の持ち味なのかもしれません。次回作に期待させるという意味も含めて、インディーズ映画の中では、孤高というか、独特なオリジナリティを持った監督の一人ではないでしょうか。(担当:13号倉庫)
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2005年06月16日

2005年6月5日 魁☆やまうちようこ生誕祭(昼の部)

 黛ジュンの「乙女の祈り」という唄をご存じでしょうか?。 ♪ 恋にもえる胸の願いはひとつ好きな人とかたく結ばれたい ♪ (歌詞、なかにし礼)。この唄は昭和(1967年)の大ヒット曲ですが、昔も今も、!(結ばれたい=絶対)と、?(結ばれたい=かも……)の差はあるものの、乙女心というのは、それほど変わっていないのかもしれません。
 今回の上映会は、昼夜二部構成で、山内監督のほぼ全作品が上映されるという事でしたが、丸1日乙女映画と付き合うのは一寸しんどいので、昼間だけの乱入となりました。そのため、夜の回の「ずぶ濡れ不燃ゴミ」「ぐずつく乳房」「エロティック・煩悩ガール」を次の機会へ回しました。しかし、それはある意味失敗だったのかもしれません。この3本を残す事によって、乙女映画の不可解さが一段と増幅したような感じがしています。山内洋子監督研究ではありませんが、この妙な不可解な感覚は早めに決着をつけておくべきだったような感じがしています。
 今回の観客は、約30名。夜の回は更なる盛り上がりだったそうです。それにしても昨日、野方で見た方もチラホラ。中には朝まで打ち上げに参加されて、駆けつけた強者の方も多数いらっしゃったようです。

今回の上映作品は次の4本
●山内洋子監督 「ラブハンターチャンス」 (2003)
●山内洋子監督 「濡れない女郎蜘蛛」 (2004)
 この2本は、今の所、未見の「エロティック・煩悩ガール」を除くと、山内監督の代表作という感じの作品です。1月の、新春山内洋子プチ祭りで見ましたが、今回の再見でも作品の印象は殆ど変わりませんでした。2作品共、微妙な上映時間で、上手くまとめているという感じがしますが、何か、教科書通りの展開のような印象を今回も感じました。ある意味ではその辺がこの監督の上手い所でもありますが、もう一つ物足りなさも感じます。ひょっとするとその辺りが、この監督のある種の壁になっているのかもしれません。
●山内洋子監督 「美術監督・木村威夫メイキング」 (2002)
 文字通りのメイキング作品。対象が美術監督の木村威夫さんという事で、ある意味、山内作品とは別の所で期待していた1本です。木村さんと言えば、パッと思い出すのが、清順さんの一連の作品。最新作の「オペレッタ狸御殿」(木村さんはプロダクション、デザインを担当)はまだ未見ですが、前作「ピストルオペラ」の華というか、登場する女優陣の素晴らしさ!。老いてもますます盛んなお二人です。その木村さんに山内監督がどう絡んでゆくのか?。興味津々でしたが、残念な事に今回はダイジェスト版上映という事でした。そのような事情で山内監督らしさはあまり感じませんでしたが、思いの外、無難にまとまっていたように思います。メイキングの本編はDVDで、近日発売されるようです。
●山内洋子監督、寺島由紀監督、藤井徹監督 「乙女天国・12の眼チャンネル」 (2003)
 山内監督、寺島監督、藤井監督による、CSTV用オリジナル短編集。結局これもTV用として無難な所に収まっているような感じがする作品です。勿論3人の個性はそれなりに出ていると思いますが、9作品続けて見ると、かなり平均化されてしまいます。その意味では衝撃などは無かったのですが、TV番組としてのクォリティはかなり高いのではないでしょうか。
 上映作品=いずれも5分
寺島由紀監督 「マルゴの夜」「したたかなシズク」「baby」
藤井 徹監督 「Gentie women」「URL」「she understands」
山内洋子監督 「とろける脂肪」「溺愛ヘルペス」「嘘つきのささくれ」

 上映終了後、3名の監督によるトークショーがありましたが、どうも、優等生的発言が多く、もう一つ、核心が見えてきませんでした。その辺は夜の部のお楽しみという所なのかもしれません。昼の部は、山内監督の巧さ、器用さが目立つ上映会でした。山内監督の、情念の噴出と、巧さ、器用さという2つの面。どちらがメインなのかは、次回以降の上映会に譲るとして、この辺で、1本、しっかりとしたドラマ仕立ての長編を見てみたいと思いました。(担当:13号倉庫)
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2005年06月15日

2005年6月4日 高橋 亨監督 「豪快エロ坊主」

5月末から6月初めにかけてのこの1週間は、久しぶりにインディーズ上映会が盛り上がった1週間でした。その中でも高橋監督の新作「豪快エロ坊主」は見逃せない1本という事で、今にも雨が落ちてきそうな土曜日、上映会の開催される野方へ向かいました。案の定途中から大雨となり、結局バスに飛び乗ったため、予定より1時間半程早く野方に到着してしまいました。
 何とか時間を潰して、上映開始5分程前に入場。会場は5割強の入り。約120名という所でした。さすがに話題作という事で、HPを持っている団体のほぼ9割が参集しているようでしたが、やはりほとんど関係者のみという上映会の雰囲気でした。ある意味ではこの120名というのが、この手の上映会の観客の上限かもしれません。
 司会は、「ユーカリSTORY」の古川監督と、翌日上映会を控えた「ラブハンターチャンス」の山内監督。一見手際の良い司会進行のように見えますが、微妙にかみあっていない所がとてもユーモラスでした。

今回の上映作品は次の2本
● 高橋 亨監督 「痛快エロ坊主」 (2001)
 この作品は、1月に、インディーズ映画界のプリンス、鶴岡監督主催の「第5回えーぞーふぁんたじあ」でインターナショナル版を見ています。今回のバージョンとの違いは英語字幕の有無だけだったように思うのですが、今回も、前回に見た印象とさほど変わりはありませんでした。
 作品としては、ムダもほとんどなく、とても見易い作品に仕上がっているように思います。しかし、今回も前回同様、もう一つ物足りなさを感じました。この作品に関しては、強力なキャラクター、状況設定などはしっかりしているので、最低限のバックアップは出来ているのですが、本来ならば、1時間程度の上映時間が必要だったのではないでしょうか。
 上映時間約30分という時間的な問題もあるのですが、今回も前回同様、語り口を優先して、単純にストーリーをつなげただけのように感じました。作品を見る限りにおいては、作品以前(企画、制作、脚本等)の基本的な段階で、監督の意図が上手く機能していたのかどうかは多少疑問の残る所です。案外、30分の枠では描ききれなかった部分、例えば、エロ坊主や売春婦の内面に突っ込んだシーンなど、それは監督が意図的に削った部分なのか、最初から無かったのかは解りませんが、その辺がもう少し明瞭に提示されていれば更なる感動に繋がり、アクションシーンの味わいもより深くなったように思われます。
 高橋監督の作品は、往年の東映や日活のアクション映画等の娯楽テイスト満載であり、そこが面白いとは思うのですが、完成度が高くなるにつれて、既製の作品群に吸収されてしまう恐れがあるように思います。しかし、現在の映画状況を考えると、娯楽の質が変化したのかどうかは解りませんが、従来の娯楽映画的な作品は殆ど見かけないのが現状です。勿論、高橋監督は、充分にその娯楽映画を作る事のできる、貴重な監督の一人だと思います。
 しかし、それを受け止められる力が果たして今の観客にあるのかどうかは疑問の一つですが、出来れば、観客に合わせて、小器用にまとめるのではなく、既製の映画群を叩き潰すくらいのパワーを見せつけて欲しかったと思います。たぶん、高橋監督は、それが出来る監督だと思いますし、それがなければ、既製の作品群に飲み込まれてしまうのではないでしょうか。
● 高橋 亨監督 「豪快エロ坊主」 (2005)
 「痛快エロ坊主」から4年、更に高橋監督が事故に遭われて、3月公開の予定が本日に延期された事もあり、作品への期待感はかなりの盛り上がりを見せていたように思います。
 上映開始、最初のシーンから、客席は大爆笑。そう言う意味では高橋監督の掴みは最初から見事なのですが、自分はこの、冒頭の部分は引いてしまいました。勿論、高橋監督の計算は確かに成功しているし、客席もウケているので、この上映会では成功していると思うのですが、果たして、この冒頭のシーンは、一般観客にも通用するのかどうかは、はなはだ疑問です(子供とマニア、ヲタクは除く)。
 エロ坊主役の松本航平さんは、前回に比べて数段のパワーアップ、期待通りの大熱演です。前作以上の大きなスケールの演技を見せてくれました。その他、ヒロイン、脇役、敵役さんも皆さん、大熱演でした。恐らく、皆さん、実力のある役者さん達なのでしょう。
 その意味では、悪役グループのおかしな設定は、不要だったように思います。あのような設定は、役者さんが弱い時には必要なのかも知れませんが、今回のキャスティングでは、かえって役者さんの味を殺しかねません。
 勿論、役者さんの大熱演を引き出した高橋監督の功績は評価されるべきだと思います。しかし、映画の冒頭に見られたような、ギャグが随所に見られ、自分はその度ごとに引きまくってしまいました。中途半端なギャグやCG、特撮(会場では大ウケでした)で笑いを取って行くよりも、笑いを取るのなら、一見弱そうに思えるかもしれませんが、あくまでもドラマ上で、きちんと笑いを取っていくべきだったと思います。その意味では、今日の観客、とりわけ、自主映画ファンを意識し過ぎた演出であったと言わざるおえません。
 果たして、それで良かったのかどうか?。この件に関しては、監督の資質という問題もあります。処女作「怪傑ドバット」等を見る限りにおいては、その辺のセンスは監督の資質の中に含まれているようにも思われます。そうすると、これは結構厄介な問題です。
 もちろん、自主映画を作っている人の中にもいろいろな人がいます。映画が作りたくて仕方がない人、やたらアートな人、1発当ててやろうと思っている人、作る事が楽しみな人、何も考えていないけど作品ができちゃった人、それはそれで、全てアリだと思います。しかし、高橋監督をはじめ、才能のある人に関しては、ちょっと違うと思います。出来る人には出来る人がやらなければいけない事というのがあるように思います。そういう意味では、今回の作品は、かなり頭を抱えてしまいました。
 野方に集まった約120名の観客の大爆笑。それと約半分の空席。この空席は何のリアクションもしませんが、自分はこの空席の静けさがとても気になりました。(担当:13号倉庫)
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2005年06月06日

2005年5月28日 シネマキャバレー 

 今月のシネマキャバレーは、先月に引き続き処女作特集第2弾です。今回は概ね20歳を過ぎてからの初監督作品という事ですが、考えてみると、商業映画では、30,40歳代でのデビューは当たり前なので、そういう意味ではインディーズといえども20代での作品というのはこの先の映画状況を考える上でも、監督を語る上でも、貴重な上映会だったように思います。勿論、今回上映された監督の他にも、たくさんの監督がいるので、この上映会でのレベルが現在のインディーズ界の水準ではないというのは当然の事ですが、それなりに感性の煌めきを感じさせる作品群であったことは確かです。ただ今回は、前回の作品群に比べて、年齢相応故の思惑、作為が見え隠れする作品が多かったように思います。それは、当然の事と思いますが、むしろ、それを乗り越えての個性や技術など、初監督作品といえども観客を納得させる何かがあったのか、なかったのか?。今回も1本1本取り上げて行きたいと思います。
 今回の入場者は約40名。そのほとんどが上映作品の関係者のようでしたが、会場は熱い熱気に包まれて、気持の良い上映会となりました。

●水戸英樹監督 「白い空気」(1986)
 今回の上映作品中、唯一10代に作られた作品。高校の文化祭用に作られた作品で、ダビングにダビングを重ねた編集の為か、画質は相当悪かった。しかし、このような作品が残っていて、こういう上映会で見られる事自体が面白いことではないだろうか?。この作品でも86年当時の青春がしっかりと焼き付けられていた。しかし、内容については、最初の上映作品にも関わらず、全く記憶に残っていないので、次回の機会があれば再見したいと思う。
●高橋 亨監督 「怪傑ドバット」(1990)
 「痛快エロ坊主」の高橋監督の処女作。インディーズ映画の中では、娯楽作品の王道をゆく高橋監督の演出力は処女作でも健在だった。このような感覚は、短期間に身に付くものではなく、大げさに言えば、高橋監督の生き方に関わっている貴重な個性ではないかと思う。しかし、娯楽作品は、ともすれば安易な方向に流れがちである。その辺はやはり観客に媚びることなく、監督の思うがままの作品を見てみたいという気持が強い。高橋監督の作品を見るのはこれで3本目なのだが、近々公開される「豪快エロ坊主を」見た後に、インディーズ映画では貴重な、娯楽映画をまともに作る事ができる高橋監督については、いろいろと考えて考えてみたいと思う。
●鶴岡幸治監督 「DENNY BY GOOD ! ! !」(1999)
 インディーズ映画界のプリンス、ご存じ?、鶴岡監督の第1回作品。23歳の作品としては多少ヤンチャッぽい気がしないでもないが、今回の上映作品の中では伝えたい事が明確に出ていた作品の一つである。この作品もビデオを含めると何回も見ている作品なのだが、今回の新しい発見は、鶴岡極道の演じるチンピラの軽薄さが、案外、ロマンポルノの神代監督や、巨匠今村昌平のチンピラ物に連なっているかもしれないという事。それはある意味、とても日本的な喧騒であったりするのだが、残念な事にこの時点の鶴岡作品ではそこまでは消化されてはいない。
●松梨智子監督 「カレーにかけろ!」(1995)
 この監督は、かなり有名な監督らしいのだが、スクリーンで見るのは始めて。もっとも昔、V&Rの「わくわく不倫旅行2」(一般公開タイトル「流れ者図鑑」=監督平野勝之)に出演していたので、それなりの記憶はあった。この作品は、監督23歳の時の作品という事だが、23歳とは思えない程の可愛い作品であった。非常に解りやすい作品で、いろいろな意味で、思わず笑ってしまうのだが、おそらく、これはこれで良いのだろう。観客対象は幼稚園児向きというところか?。ボーイ・ミイート(ソースがあれば、なお良かった)・ガール的映画の一種。
●ダー機関 監督 「SO IT IS」(1994頃)
 1分弱、確かにスクリーンに映像は写っていました。勿論、これも作品ですが、どちらかというと上映会場でのパフォーマンスに主体を置いた作品のようです。もっとも、パフォーマンスという事では、今回、鶴岡監督作品上映終了後に乱入してきた謎の怪人、グレイテスト・ツタがおいしい所をしっかり持っていってしまったので、この作品、今回は全くの不発に終わってしまいました。パフォーマンスも、作品自体も、何のひねりも無い平凡なものだったので、やはり、効果的な上映をするためにも、主催者側とちゃんと打ち合わせをするべきだったのではないでしょうか。
●山内洋子監督 「蜜の匂い、みわく荘」(2001)
 現在のインディーズ映画の中では、どっぷりと女性を感じさせる作品を連発している監督であるが、処女作でもその傾向はは充分過ぎるほどにあった。それがこの監督の良いところでもあり、悪いところでもあるのではないかと思うのだが、近々、この監督の作品の大半を見られる上映会があるので、その辺の事はそれからでも遅くないと思う。ある意味、期待の監督の一人。
●KH PRODUCT監督 「菊花物語」(2003)
 今時珍しい?アンダーグラウンド・ムービー的作品。やりたい事は解らないでもないが、03年にこういう作品が作られたというのは、何とも言えない不思議な感覚であった。勿論、今風な表現の仕方は、いろいろとあると思うが、この作品に関しては、その辺の思考がもう一つ映像に反映されていなかったように思う。貧弱な尻に一体何のメッセージがあったのだろうか?。
●門五三監督 「ペグ」(1995)
 サイレント作品なのだが、何故サイレントなのかはよく解らなかった。サイレント映画には、サイレント映画の演出があると思うのだが、監督はもしかすると最初からサイレントにしようという意図はなかったのではないだろうか。映像のみではもう一つ監督のテーマが見えてこなかったのだが、物語の流れは、なんとか解ったように思う。29歳での第1回監督作品。こういう作品を撮りたかったという気持は解らないでもない。(担当:犬 大太)
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2005年05月06日

2005年5月4日 黒豹のバッドテイスト上映会

 どうも最近のVTR機材は、昔の8ミリ等の機材に比べると取り扱いも簡単なようで、特にGW等の連休の観光地や公園では、あちこちでカメラを回している家族連れに遭遇します。勿論、プロジェクターなどの上映機材も安価に、簡単に扱える機材がかなりあるのではないでしょうか。そういう意味では家庭等で大スクリーンに上映しても何ら問題もなく、当然ホールでの上映も充分可能という事でしょう。今回上映されたものもそういうたぐいのもので、映像はちゃんと写っていました。もちろん、運動会、結婚式、旅の想い出等、本人以外、どうでも良い事でもやはり、映像は映像です。基本的にはそれで何ら問題はありません。今回上映されたものは、面白い、詰まらないという評価のものではなく、むしろホールの大スクリーンに写したという事に意味があるのかもしれません。勿論、それを面白いと感じる人、つまらないと感じる人、それはいろいろあるでしょう。ただ、自分の中では作り物としての範疇には入らないものだったので、評価は出来ないし、する必要もないでしょう。観客は約30名。(担当:犬 大太)
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2005年4月23日 シネマキャバレー

 毎月第4土曜日、池袋で行われている、インディーズムービーの上映会。継続は力なりという言葉もありますが、開始以来3周年目に突入して、今や、インディーズムービーをウォッチするには、欠かせない上映会です。名作、傑作粒揃い。そして、迷作も。この上映会には、既製の作品や、コンテストの入賞作品には無い、本当の面白い作品に出逢える可能性があります。日本映画もまだまだ捨てた物じゃないカモね。その内、シネマキャバレーから、ドでかい事が起こるかも……。起きないかも知れない……。それはそれとして、一度足を運んでみては如何でしょう。
 今回はインディーズ・ムービーを撮り続けている、あの監督、この監督の処女作特集、第1弾です。今回の特集は、パート1として、比較的ロー・ティーンの作品が多かったのですが、作品の評価などという事が如何に馬鹿気た事か、という事を目のあたりにさせてくれた上映会でもありました。全編、映画作りの楽しさが伝わってくる。そんな作品ばかりでした。ある意味、映画ゴッコの楽しさ、その真剣さがストレートに画面から感じられる上映会でした。実は、今回の上映会の感想はそれに尽きるのですが、それでは乱入した意味がありませんので、ここはなんとか、1本1本作品を取り上げて行きたいと思います。当日は約40名の入り。作品のセレクトも上々で、比較的、盛り上がった、面白い上映会でした。

●荒木 匡監督 「ベンハー/赤ちゃん恐竜つれさる」
 荒木匡監督は現在小学校4年生だそうです。処女作は小学校2年生の時の作品。
おうちにビデオ・カメラがある。とてもすてきですね。そのカメラで、お父さんと、お母さんは、匡くんと妹さんをたくさん、さつえいしているのでしょうね。ボクはそのえいぞうをみてみたいです。とくに、うんどう会のえいぞうなんか、おもしろいのではないかなぁ?。匡くんの「ベンハー/赤ちゃん恐竜つれさる」は、はじめてみましたが、さいこうにおもしろかったです。おもしろい作品をみせてくれて、ありがとう。ガッコのべんきょうも、がんばってくださいね。
●岡本泰之感監督 「目撃者は消せ! PUT OUT WITNESSER}
 「油揚げの儀式」の岡本監督の中学生時代の作品。画面から中学生らしい雰囲気が伝わって来ます。それも、只の中学生ではありません。秘密結社の匂いがプンプンと伝わってくる中学生です。恐らく、仲間だけにしか解らない、秘密映画基地のようなものがどこかに有ったのではないでしょうか?。そう、思わせるくらいにちゃんと作られている作品でした。出演者、スタッフと、これを見た(見せられた)お友達など、当時、この作品に関わった全ての中学生一人一人にピース・サインを送りたくなるような作品でした。
●荒木スミシ監督 「ブーフーウー」
 前出の岡本監督作品と同様、荒木監督の中学時代の作品。しかも中学生的メジャー大作です。文化祭用にHRで採決され、クラス一丸となって制作された作品かもしれません。ミュージカル仕立てというのはちょっと通っぽいけど、ヒーローがブーフーウーというのがとても微笑ましい所です。作品も学芸会のりで、監督を始め、出演者もみんなで楽しんでいる。良いんです。それで良いんです(ここは勝手に想像させていただきました。間違っていたらご免なさい)。
 恐らく、この制作過程の様子はまさに 「ムービーボーイズ」というべき物だったのではないでしょうか?。「ウォーターボーイズ」も「スゥイングガールズ」(未見)も良いのですが、映画企画者ならば、先ずはここに気が付くべきだと思います。映画製作を題材にした映画がヒットするかどうかは解りませんが、中学生版、「アメリカの夜」?、森崎監督の「ロケーション」や「蒲田行進曲」をパクっても良いよね。当然、「中学生日記」も参考になるかもしれません。もっとも、このご時世、柳の下に泥鰌はそう沢山いるものではありません。荒木スミシ監督をはじめ、この作品に関わった全ての方々にもピース・サインを送ります。
●中村幸一監督 「大空戦&血戦」
 中村監督の高校時代の作品。これはかなりヲタク的な作品でした。同じ特撮でも、小学生の荒木匡監督作品のような子供っぽい所はありません。零戦とか、ムスタングとか。何故戦争映画なのかは良く解りませんでしたが、プラモデル・ブームを通過した者にとっては、カッコイイの一言に尽きる作品でした。これはもう、「ハワイ・マレー沖海戦」ですよ。昔、新東宝の戦争映画で戦艦の煙突から出る煙が進行方向に流れているというあり得ない特撮を見た事がありますが、それより断然カッコイイ特撮でした。最近ではパチンコ店でもあまり聞かれなくなった軍艦マーチがスカム2000でフル・ボリュームで聞けたというアンバランスにも感動しました。
●犬童一心監督 「気分を変えて?」
 今回の面子では一番のビッグ・ネームと思われる犬童監督の作品。しかし犬童監督の商業映画は一本も見ていません。不勉強の程、平にお許しを。さて、この作品は犬童監督の高校時代の作品です。この作品を見て、恐らく、犬童監督は作品を撮るのではなく、ただ映画を作りたかったのではないか?、と思いました。その点では、上手く出来た映画であり、とても丁寧に作られていると思います。映画の流れにしても、大林監督の「伝説の午後、いつか見たドラキュラ」から始まって、大森監督の「暗くなるまで待てない」に連なる映画というように、とても解りやすいと思います。しかし、根本的に違うのは、映画を作りたかったという気持は解るのですが、何をを作りたかったのかがもう一つ見えてきませんでした。犬童監督は、この映画で、何を言いたかったのでしょうか?。別に言いたい事なんか無くても良いのですが、その辺はある意味致命傷的です。例えば、清順さん(大森監督)→藤田敏八監督(犬童監督)、音楽でも、森田童子(大森監督)→頭脳警察(犬童監督)等。要はメチャクチャ好きと普通に好きの違いなのですが、同じ好きでもこの差は、好き、嫌いの差よりも歴然としているように思います。犬童監督の世代はそれなりにOKなのかもしれませんが、自分としては、オリジナルというか、突き抜けるものは、全くなかったように思います。
●T・SINICHIROU監督 「FUCK日本刀とブルー」
 この作品は、奇跡に近い偶然が重なって発見された作品という事ですが、残念ながら、ダイジェストというか、部分的にしか残っていない再編集版とのことでした。言わば、「阪妻乱闘場面集」のような物でしょうか。そのような訳で、作品の面白さはは朧気にしか見えて来ないのですが、特筆すべきはスカム2000のオーナーでもある加藤義勝氏のなりきり演技です。スカム2000といえば、平日は加藤さんのアトリエであり、スカム2000の壁には加藤さんの作品が掲げられています。岡本泰之監督の「螺旋家」も加藤さんの絵本を映画化した作品でした。絵に関しては良く解らないのですが、じっと加藤さんの絵をみていると、不思議にその絵とコミニュケーションをしているような感覚なります。加藤さんがいつ頃から絵を描かれているのか、その辺の事は解りませんが、この作品に出演されている加藤さんをみると、その、原点のような物を、ふと感じました。 「あれは○○○○の人だ!」 この作品にも制作に関わった人、見た人(見せられた人)全てにピース・サインを送ります。
●酒徳圭二監督 「張り込みの盲点」
 この監督の作品をスクリーンで見るのは始めてです(ビデオでは少しだけ見ています)。そう言うわけで、はっきりとは断定出来ないのですが、この監督の作品は、映画、映像とは違う時点で成立しているような感じがしています。勿論、それでも映画であり、映像ではあるのですが、自分の考えている範疇には入ってはいません。ただ、ビデオで見た作品よりは、処女作という事もあり、映画的ではあったのですが、その範囲で見たとしても、何をやりたいのかは解らない。?、と言う所です。ギャグや発想がつまらないのは仕方が無い事ですが、それでももう少し何とかなったはずです。3分の上映時間が、もの凄く長く感じました。(担当:13号倉庫)
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2005年3月27日 下倉 功 個展 「ご挨拶}

 日曜といえども、朝10時からの上映は、普段の生活パターンから考えても一寸きついのですが、一人の作家の作品をまとめて見る事のできる機会はそうない事なので、満を持してスカム2000へ向いました。案の定、午前中の作品は約10名ほどの入りでした。午後の新作「シルク」の上映は約30名弱の観客動員で、とりあえず、一安心。観客としてもガラガラの状態で見るよりも、ある程度のお客が入っていた方が見やすくもあり、劇場の楽しさを充分味わう事が出来るので、その面ではとても暖かな上映会でした。

今回の上映作品は次の3本
●下倉 功監督 「And I Love Her」 (1996)
 約10分の短編。オムニバス作品の1本らしい。初っぱなから、阪本九の「明日があるさ」ではないが、♪いつもの駅でいつも会う、である。自分は一気に30年ほど、タイムスリップしてしまった。実は学生時代に、この作品程格好良くは無く、むしろボロボロだったのだが同じような経験をした事がある。今思えば、殆ど忘れていた懐かしい話なのだが、一つ間違えば、今で言う、ストーカーになっていたかも知れない。そういう意味では冒頭から、かなり身近な感じで作品を見る事ができた。下倉監督の構成は、清々しく、あり得べき青春の1ページを活写している。電車を使ったこの手の青春映画は当時から、イヤと言うほど見ているので、今更新しさとかは感じないのだが、下倉監督のやりたかったことは充分に解る。ある意味、平凡と言っても良い作品ではあろうが、平凡な作品などは一本もないのだ、と言うことを思いださせてくれる作品であった。
●下倉 功監督 「クリスマス・イヴ」 (1987)
 この作品も、痛い作品である。たぶん人間というものはどの時代においても、その行動パターンはそんなに変わらないものなのかも知れない。特に青春時代の行動は、今ならもっと巧く立ち回れるという思いがどこかにある。製作は87年。バブル前の良い時代だった。
 「クリスマス・イヴ」、下倉監督の演出はとても力強い。脚本の隅々にまで目を通し、考え抜かれたカットは思わず見る者を釘付けにする。そうでなければ、このどこにでもありそうな話は普通の凡作になっていたはずである。あの時代、下倉監督のこの作品に対するパワーが果たして、スタッフ、キャストの隅々にまで行き渡っていたかどうかは疑問ではあるが、それを補って余る程のパワーを見せつけてくれた作品ではなかろうか?。この作品は、その辺でも、技術論や、映像センスを凌駕しているのだ。
 監督の熱い思いが垣間見られる。それは正にその時における下倉監督の等身大の作品なのだ。だからこそ、今でも充分過ぎる程に見る事が出来る。出演者の服装、髪型などはさすがにあの時代を感じさせるものではあったが、ストーリー及び、そのテーマは今でも作り方によっては充分通用するのではないだろうか。
●下倉 功監督 「シルク」 (2004)
 下倉監督、9年振りの新作は4時間の超大作である。しかし、これは完成お披露目版という事で、これから一般公開版が作られるという話も聞いた。個展と銘打っての今回の公開は、関係者以外の一般観客(どれくらい入ったのかは解らないが)も見ることができる。それゆえにこの作品については、様々な批評や感想があると思うのだが、ある意味、作家の良い面も悪い面も全てをさらけ出しての個展という事であり、その作家魂には最大限の敬意を表したいと思う。
 しかし、この4時間のお披露目作品は、ある意味メチャクチャな作品であった。それは下倉監督の性格とも思われるが、監督の人間を見つめる目と言うか、やさしさと言うか、主要出演者に関するドラマを全て、それも一つ一つ丁寧に演出しきってしまった事による。つまり、この作品は1本の中に出演者それぞれが主演級である、数本分の作品が詰まっているのである。その分、全体のドラマとしては、拡散傾向に感じられるのだが、一つ一つのドラマがそれ以上にパワフルなので、4時間タップリとスクリーンに浸る事が出来た。
 4時間の長丁場、見る者を飽させない演出、その重要な鍵を握る要素の一つが、役者の演技力である。出演者はほとんどがプロの役者さんらしいのだが、下倉監督の長廻し、ワンシーン、ワンカットの演出に充分過ぎる程答えているのではないだろうか。それは、下倉監督の熱意や、力技なのかもしれないが、逆に言うと、この演技力があったからこそ、下倉演出も冴え渡ったのだろう。お披露目版のどのシーンを見ても、そのテンションの高さは伝わってくる。これでは、監督としては、これ以上短縮出来ないと思うのは当然であろう。勿論、ドラマの繋ぎのちょっと陳腐なカットや、既製の音楽を使ったシーン。それに案外引きのカットが少ない等、細かい点ではそれなりに、いろいろとある事はあるのだが、それを差し引いても、この4時間のドラマは圧倒的である。しかし、その反面、役者さんからみると、このドラマのバランスの悪さは、ある意味、致命傷だったのかもしれない。物語においては、やはり、主役、脇役のバランスは当然あるのではないだろうか。そういう意味では戸惑う役者さんもいたのではないだろうか。しかし、その辺の戸惑いさえも、この作品の場合、良い味になっているのではないかと思う。そこには、何が出てくるのか解らない、強いて言えば、闇鍋の面白さがあった。この、バラバラ、ゴチャゴチャの展開に、最後まで目が離せないのだ。その意味においても、良いも悪いも正に、下倉監督の作品になっているのである。お披露目版は、荒削りではあるが、監督や役者の原型の輝きが充分に感じられる、貴重な作品ではなかろうか。
 そして、一般公開版である。個展からすでに1ヶ月が経過したが、まだ、再編集が始まったという話は聞いていない。勿論、再編集に当たっては、単純に詰めれば良いというような物ではない。何処を活かして、何処を削るか。ひょっとすると、作品の構成を根本から作り直す必要があるのかもしれない。もちろん、公開方法や興行形態までも考える必要がある。再編集版は、下手をすると、お披露目版の数倍の労力とパワーを必要とする事になるかもしれない。そう考えると一般公開版完成までは、多少の時間がかかる事になる。しかし、映像も、センスも、役者の演技さえも、実はナマ物なのではないだろうか。恐らく、余程の傑作でない限り、その賞味期限はあるはずである。そして、「シルク」一般公開版完成までの時間的余裕はそうあるとは思えないのだ。狭い範囲であったとしてもお披露目版を公開した以上、確実に賞味期限は発生している。役者を始め、「シルク」に参加したスタッフにとっても、個展を見にきた観客にとっても、一般公開版を初めてみる観客にとっても、更に、下倉監督にとっても、賞味期限終了後の完成、公開では意味が無いように思うが、どうだろう。一般公開に向けて、「日曜映画監督」の下倉監督には、もう一頑張りしてほしい所である。(担当:13号倉庫)
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2005年3月20日 IMAI・SO ワンコイン シアター

 連休最終日。外はもう春の陽気です。のどかな風を浴びながら、池袋スカム2000へ。午後3時の回に乱入です。休日の昼下がりにも関わらず、約25名の入り。このグループは初めてですが、結構動員力のあるグループなのだろうか。

●林勝明監督 「たべる」 (2003)
 冒頭から、男が監禁されている。何故監禁されているのかは解らない。女が食物を運んでくる。それも何故なのかは解らない。その辺は解った方がいいのだが、解らなくても問題はない。果たしてどういう結末になるのか?。この手の作品は昔、さんざんアンダーグラウンドで見せられた。多分、欲望に関する映画なのだろう。食欲から性欲へ。際限無く続く欲望の映像化はあまりにもオーソドックスでウンザリさせられたものである。しかし、今回の作品はそこまでの追求もなく、単なる食欲を追求した作品のようである。それも、あまりにも表面的な構成ではないか。人が人を食べるという事はどういう事なのか、少しはちゃんと考えた方がいい。この監督は、「ゆきゆきて神軍」や佐川君事件をどう考えているのだろうか?。
●阿部秀昭監督 「picture」 (2003)
 役者の演技にかなり救われてはいるが、シナリオ、構成が上滑りしているのではないだろうか。特にセリフがほとんど説明セリフでしかなかったのは大問題だ。もっとも、コメデイをねらったのなら、それもまたアリだが、作品の質からして、コメデイにはなっていない。ワンシーン、ワンカットで延々と説明セリフを喋らされた役者さんの演技力は買うが、監督はもう少し、勉強した方が良い。最後は何故ああいう落ちになったのだろう。
●伊藤隆司監督 「ブラッキーが泣いている」 (2004)
 新宿の路地、女子校生と何やら喋っているだけの映画。エリック・クラプトンが自分のギターを手放したというニュースがアイディアとなっているのだろうが、それで、何を言いたいのかが、全く伝わって来なかった。クラプトンを出すのなら、少なくても画面でロックしてなければいけないのではないだろうか。勿論、ロックの捉え方は人それぞれあるだろう。しかし、この監督は、デレク&ドミノス、クリーム、はたまたヤードバーズを知っているのだろうか?。
●佐野俊一監督 「記憶の風景」 (2004)
 このストーリーは結構好きである。しかし、あまりにもご都合主義のシナリオなので、作者の意図に反する意味で面白いコメディになっている。イメージ映像的な所は悪くない。だが、芝居の部分になると演出はかなり弱くなる。しかし、何とか見る事が出来たので、とりあえずは良かったのではないだろうか。
●門五三監督 「メモリー」 (2005)
 この監督は、結構たくさんの映画を見ていると思う。モノクロスタンダードの良さをしっかり捉えている映像には好感が持てた。時代劇という難しい作品に果敢に挑戦している姿勢にも好感が持てる。しかし、問題はやはりシナリオだろう。勿論、錬りに錬ったシナリオなのだろうが、物話の流れとしては、ストレートすぎたような感じがしている。無駄なシーンをカットしてでも、もう一つ二つエピソードがあった方がより深みが出たのではないだろうか。惜しい。
●星野東三男監督 「CAT HANTER」 (2003)
 ベースは往年のTVドラマか。ペット探偵というアイディアは悪く無いが、これもどこかにあったような感じがする。パロデイとしてもあまりひねりが無く平凡だ。演出は巧いのでなんとか見る事ができたが、どうのこの言う程の事はない。映画製作を楽しんでいるようなので、これはこれで良いのだと思う。(担当:犬 大太)
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2005年3月12日 宮野真一監督 「↓140」「宇宙魚顛末記」 

 上映会ラッシュも一段落した感がある3月中旬、実はこういう隙間の時期にこそ、旧作で面白い作品を上映してくれる映画館があれば良いのだが、現在の状況ではとても無理という所でしょうか。今回は、シネマキャバレーで予告編を見た宮野監督の新作「↓140」を見に池ノ上・シネマボカンへ。当日は約20名の観客。それなりに暖かい、暖かすぎる上映会でした。

●宮野真一監督 「宇宙魚顛末記 て・ん・ま・つ・き」 (1994)
 宮野監督の作品を見るのは今回が初めて。どんな活動をされているのかも解らないが、それは作品の感想・評価に影響するものではない。要は作品が面白ければ何も問題は無い。
 さて、この作品であるが、ある意味かなり衝撃的な作品であった。制作は映画を見る限り信じられないのだが、1994年とのことである。昔々、今から30年も前の事であろうか、ある意味、8ミリ映画がかなり作られていた時代がある。PFFなどない時代。それからしばらくして石井聰互や長崎俊一などが出てくるのだが、大学の映研などが中心ではあったが、無数の8ミリ映画が存在していた。今のように、技術的にはプロとアマの差が目立たなくなった時代ではなく、当時はプロとアマの差がはっきりとあった。キャンパスでは月に1度か2度、そんな8ミリの上映会が行われて、よく先輩の命令で訳の解らない作品を見せられたものである。その無数の駄作達は、今となっては懐かしい想い出でもある。今回の宮野監督作品は、その当時を彷彿させてくれる懐かしいテイスト充満の作品であった。作る側が精一杯楽しんでいる。多分、それはそれで良いのだろう。先月から自主映画という言い方はなるべく使わないようにしているのだが、これは正に、自主映画の中の自主映画である。驚きは1994年にこういう映画がつくられた事と、それを2005年に見る事が出来た事である。映画の世界は奥が深い事を感じさせてくれた1本であった。
●宮野真一監督 「↓140」 (2005)
 この作品に関しては、ネット掲載上差し障りが多いので、掲載を差し控えさせていただきます。ただ、自主映画が嫌いなら、映画は撮らなくても良いのではないかという事は、ハッキリと言っておきます。(担当:犬 大太)
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2005年2月27日 飯野 歩監督 「ガソリンゼロ」「失われしモノたち」  2005年2月11日 飯野 歩監督 「ガソリンゼロ」「メッセージ」 

 何とも間の悪い話だが池袋スカムでの上映からもう1ヶ月以上経ってしまった。正直言って「ガソリンゼロ」の細部の記憶はかなり薄まってきているのだが、時間が経てば経つほど映画としての大きさは膨らんでいく。それが良いのか悪いのかは今の所、判断が着かないのだが、時には小さく、時には大きく、今もぐるぐると回っている。
 飯野監督の評判は、いろいろな所で聞いていた。飯野監督はインディーズ系映画の話を聞くと、必ず名前が上がってくる監督の一人である。作品としては、「詭弁の町」(未見)が有名である。この作品はPFFで審査員特別賞に輝いた作品ではあるが、自分としては90年代以降、PFFの使命は終わったと考えているので、それで、どうこうというイメージはない。しかし、04年の晩秋から暮れにかけて、あちこちの上映会に必ず置いてあった「ガソリンゼロ」のチラシにはかなり興味を持った。チョット奇妙な話だが、良い映画の匂いというか、傑作の予感というか、作品に対するストレートな訴えがこのチラシにはあるように思う。ある意味、「ガソリンゼロ」の基本的なテーマは全てこのチラシにあると言っても良いだろう。昨今の劇場公開作品の宣伝チラシに比べても、このチラシはインパクトがある。原付バイクを中心に左右対称で主人公と女子高生、更に通行止めの看板。後ろにはバリケード。真ん中に「なんで回るの?」のコピー。正に秀逸なデザインである。
 12月19日の封切り、初公開が近づくにつれて、予告編の露出度も多くなり、少しずつ期待は盛り上がって行くのだが、この辺のプロモーション展開は、上映スタッフの方々の努力の賜物だろう。プロモーションとしては基本的ではあるが、商業映画を含めても今ではほとんど見かけなくなった、きめの細かいプロモーション展開であった。そして、何よりの成功は、大好評の内に終了した先行上映会の成功であろう。自分は行けなかったのだが、信頼出来る方々の評判、感想が瞬時に飛び込んできた。2004年12月19日、公開地、千葉佐倉は熱く燃えたらしい。その後、年末年始から2月の池袋3日興行まで、あちこちの上映会には必ずと言って良い程、「ガソリンゼロ」のスタッフがプロモーションに訪れていた。さあ、いよいよガソリン満タンで、池袋スカム2000、「ガソリンゼロ」3日興行である!。
 結局、池袋スカム2000には、初日、最終日と2度足を運んだ。それは、この映画がとても気に入った事と、この映画の次のステップが気になったからである。確かに今のシネコン一辺倒の映画状況の中では、普通の映画といえども殆どの映画が封切りされたという事実を残したのみで消え去る運命にある。昔のように名画座があれば敗者復活ではないが面白い映画の何割かは救われる可能性もある。しかし、今はそういう状況ではない。せめて、まともな批評の1つでもとは思うが、映画評論家や映画ライターという輩も、何処を向いているのか良く解らないような状況だ。はたして、「ガソリンゼロ」はたった4日間、合計10回の上映のみでぐるぐる回り続けるだけなのだろうか?。その辺がとても気になっていた。幸い、「映画芸術」の104さんが見に来てくれるという事で最終日に待ち合わせした。しかし、104さんには会えなかったが、彼は、自分が見た後の回、3時30分の回で見たそうである。
 「ガソリンゼロ」上映終了後、すでに1ヶ月半になろうとしているが、その後、表だった動きがなさそうなのは残念ではあるが、面白い映画はそれなりに評価されるべきであるという事は強く言っておきたい。

●飯野 歩監督 「メッセージ」 (2004)
 「ガソリンゼロ」と同時上映(スカム初日)の短編作品。携帯電話を素材にしたワン・テーマの作品。本来ならいくらでも話を膨らませられる題材だが、削ぎ落とせる部分は徹底的に削ぎ落としてシンプルな作品に仕上がっている。この手の作品はラストが冴えるかどうかが重要なのだが、ラストの落ちは一寸くどいかもしれない。しかし、ここまでキッパリと描かなくては今の状況では伝わらないかもしれないのでは、とも思う。落ち着いたカメラワークが物語をしっかり支えているのにも好感が持てた。
●飯野 歩監督 「失われしモノたち」 (2004)
 「ガソリンゼロ」と同時上映(スカム最終日)の短編作品。都会の夜景をバックに怪しげなオトコとオンナの会話がボソボソと続く。その会話は、まるで場末のジャズのように、きらびやかな都会の夜に馴染んでいる。どことなくボルトの外れたようなハードボイルドタッチのスケッチが続く。ストーリー展開がどうのこうのとか、役者がうんぬんと言うよりも、この作品は、その独特な雰囲気に浸る映画ではないだろうか。ある意味、この作品は飯野監督のセンスでねじ伏せた作品なのかもしれない。
●飯野 歩監督 「ガソリンゼロ」 (2004)
 71年、日活がロマンポルノに移行する前の最後の一般映画、藤田敏八監督の「八月の濡れた砂」は今や伝説の青春映画なのであろうか?。それとも幻の青春映画なのであろうか?。そのファーストシーン、主人公の蹴ったサッカーボールは校舎の窓ガラスを粉砕する。行き場のない青春のストレートなパワーが爆発する瞬間であった。そのパワーは、結局、自分たちが乗っているヨットの船倉までも打ち抜き、フラフラと海に漂うロングショットで映画は終わる。
 そして04年、飯野 歩監督の新作「ガソリンゼロ」では行き場のない青春は、ぐるぐると回っている。その場に佇んでいる訳でもない。閉塞感も感じられない。ただ、ぐるぐると回っている。しかし、このすがすがしくも奇妙な行動が04年の青春をリアルに表現しているのではないだろうか。
 ストレートに突き進むしかなかったあの時代の青春。そして、ぐるぐる回り続ける現在の青春。時代は変わっていても、それはどこかで繋がっているはずである。「八月の濡れた砂」に感動した世代、多分現在は50才前後であろう。その子どもたちが現在青春の真っ直中であるのは不自然な事ではない。子どもは親の背中を見て育っていくものである。そんな親達を反面教師として見て育てば、もう子ども達は親達のようにストレートではいられないはずである。じゃぁ、どうする?。
 飯野監督は、その回答を「ぐるぐる回り続ける」青春として、解りやすく描いている。これがこの映画のキー・ポイントであり、生命線ではないだろうか。このイメージは原作にあったのか、飯野監督が考え出したのかは解らないが、達見である。映画は短編の「メッセージ」同様、削ぎ落とせる部分は徹底的に削ぎ落としてスピーディな作品に仕上がっている。その点ではもう少し、作品に厚みがあっても良かったのではないかとも思うのだが、むしろこのスピード感が、作品の基本的なリズムを決定付けている。それは、今回の出演者にも言える事かもしれない。今回の出演者達も、決して巧いとは言えないが、勝俣幸子、七枝実、水野由加里、渡辺慶子など、演ずべき役所にはまり込んでいたのには好感が持てた。特に主役の山崎吉範は徹底的な受けの演技で、キャラクター的にも結構難しい役所だったのではないかと思うのだが、青春という捕らえどころのない時間を演じきっている。前出の2短編と、この作品しか見ていないのだが、これは恐らく、飯野監督独自のテンポ、演出術なのだろう。
 一つ一つストーリーを挙げて解説して行くのは本意ではないので、ここでは書かないが、映画の後半には「ぐるぐる回り続ける」だけではなく、一直線に突っ走るシーンもある。テーマとしても、ストーリの流れとしても、それは必然の事ではあるが、この辺は意外と平凡な展開であった。しかしそれでも徹底的に解りやすく、逆に心打つ展開となっている。ある意味、映画の映画たる所、正に王道なのである。そこを逃げる事なく、オーソドックスに演出した飯野監督の計算もまた見事であった。
 冒頭の「八月の濡れた砂」を初めとして、青春映画の傑作は多々あるが、「ガソリンゼロ」は、04年のというよりも、この時代の青春映画として、語り続けられるべき映画ではないだろうか。そのためにも、より多くの上映を期待したい。もっとも最近は、映画やビデオで字幕しか読まないという映画?ファンが多いのが気になるが、それでも、この映画は沢山の人に見られるべき映画だと思う。今後の戦略的な再上映を熱烈に希望したい。(担当:13号倉庫)
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2005年2月26日 シネマキャバレー

 スペシャル・ハードな3日間の2日目。状態は最悪でした。身体が勝手に動いてスカム2000へ。意外とこういう日は傑作映画にブチ当たる事が多いのだけど、今回はそれほどでもなく、更に悪い事には確かに見たはずなのに、全く思い出せない作品もある。その作品は、次回の上映機会に再チャレンジしたいと思っています。当日は、そういう状態だったのですが、観客は約20人。いつものシネマキャバレーと比べるともう一息の入りでした。

●相川興太監督 「落ちて……」
 バレバレの落ちではあるが、自作自演による相川監督のパワーで5分の短編を見せきってしまった。映画的な表現方法というよりも、相川l監督の推測不可能な魅力とでもいうか、この独特の感覚は面白いと思う。人生は、その渦中にいる時は笑う事が出来ない程深刻になる事があるが、後で振り返ってみると、その行動はコメデイのように思える事がある。実際に、視点を変えてみたら、多分、その時もコメデイだったのかも知れない。ある意味、この作品はその辺りの事を、監督が無意識の内に表現しているのではないだろうか。
●神村正義監督 「AIの声」
 有る意味、都市伝説の映像化といっても良い様な作品である。ラブホテルの一室から幻想の迷路での地獄巡り。導入部のドラマが少しモタついている感じがしないでもないが、後半の路上のシーンは圧巻である。この手の作品に良くある、大量の出血や内蔵露出などの派手なビジュアルで見せるのではなく、路地や建物などの映像の中に主人公を配して、心理的な恐怖を見せてゆく手法には好感が持てた。出演の川島田ユミヲがこの作品でも好演。この人は妙な魅力を持っている女優さんである。
●山岸信行監督 「LOST SOUL」
 山岸監督の無言劇映画。山岸作品の常連俳優、中島久行の的確な演技と共に、締まった映像空間を捻出した作品である。しかし、この手の作品を作るのは、なかなか難しい事なのではないだろうか。やはり、言葉が無いというのはかなりのハンディのような感じがする。しかし、山岸監督のこの作品はある程度成功しているのではないだろうか。言葉が無くても、役者の表情や風景がある程度物語っているような感じがするからだ。その点では山岸監督の演出は的確なのであるが、見る方としては多少難解であるのが残念であった。
●中島 良監督 「アダムスファミリー一家」
 この作品は、スクリーンに写る瞬間までは見ていないと思っていたのだが、昔、何処かで見ていた。ひょっとするとビデオかもしれない。はっきり言って、スクリーンに写る瞬間までは全く記憶がなかった。ある意味ではその程度の作品という事なのだが、今回再見してそれなりの勢いがある作品だと思った。しかし、作品としては、それ以上でもそれ以下でもない。確かに作り方も巧いしそれなりに面白いのだが、監督が何をやりたいのか、何を言いたいのかがもう一つ解らなかった。多分、こういう映画が記憶に残らない筆頭の映画だと思う。
●山本俊輔監督 「TRAP GIRL」
 申し訳無いが、この映画に関しては全く記憶が無い。どんな映画だったのかさえも思い出せない。また、何処かで巡り会えたらその時はしっかり見せてもらいます。(担当:13号倉庫)
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